2022-01-01から1年間の記事一覧

人間の人生を考えてみる

「人生はまともじゃない。ひとは断りなしになかに入ってきて、行く先もわからずに出て行く。しかもそこにいるときは何をしているかわかっていない。」 上記の文章を読み解くと、こうでしょうか。 ①「人生はまともじゃない。」つまり、人間の生は理不尽であり…

ほとんどすべてのアポリア(哲学的難問)の鍵は『可能性』と『現実性』をめぐってである

「ほとんどすべてのアポリア(哲学的難問)の鍵は『可能性』と『現実性』をめぐってであるように思われる。われわれが言語を学ぶと、世界をまず可能性の相で眺め、次にその一部が現実化したとみなすのだ。こうすると、地球が生まれたのも、人類が生まれたの…

「私」は脳のどこにいるか

脳科学における「ニューロン(神経細胞)のスパーク(興奮、発火)のクラスター(塊り、つながり)が人間の思惟活動である」という主張を真面目に提起する唯物主義の脳科学者の考え方はいかにもグロテスクである。確かに、人間がいろいろな思惟、想念を発出…

サルトルの超越の概念について

サルトルは、「性質」という言葉を考察している。この語の意味については、ウェブ辞書 性質(せいしつ)の意味や使い方 Weblio辞書 - 言葉に次のように記されている。 『「1 もって生まれた気質。ひととなり。たち。「温厚な性質」 2 その事物に本来そなわっ…

偶然と運命

この世(世界)に生を享けて生きていると、予想もしないこと、予期に反したことが多く起こる。善いことや悪いことが起こる。ネーゲルが書いていたように、悪いことの方が多く起こるようだ。人生上の悪いことは、総じて禍(あるいは苦難)と呼ばれる。経済的…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その4

キリスト教がローマ帝国によって国教になり、カトリック教会が成立した後、この預定説は否定され、キリスト教はキリストを信じる全人類を救済する宗教となった。 宗教改革の実行者の一人、マルティン・ルターは書いている。 「神はその望むところに従ってわ…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その3

イエスを教祖とする原始キリスト教は、有能なオルガナイザーであったパウロによって大教団に発展する。そのパウロは、新約聖書「ローマ人への手紙」第3章10-12)において、つぎのように書いている。 「旧約聖書に、次のように書いてあるとおりです。『正しい…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その2

「運命と功績の不一致の根拠に関する問いに満足のいくような合理的な答えをあたえうる、そうした思想体系の姿をとったものはごく僅かーのちに見るように、全体として三つの思想体系だけーであった。すなわち、インドの業の教説(die indische Karmanlehre)、…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その1

ライプニッツは「モナドロジー 形而上学叙説」中央公論社2005年1月10日 の中で、すべての現象には理由があると書いた。これは「充足理由律」というものである。カントもこれは正しいと「純粋理性批判」に書いている。それはこういうことだ。 「現に生起する…