2023-01-01から1年間の記事一覧

入不二基義『現実性の問題』

入不二基義は、『現実性の問題』の第9章「『無いのではなくて存在する』ではなく」において「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか - Wikipedia」という形而上学的な問いについて次のように書いている。 「この形而上学的な問いを、私は『斜めから』眺め…

死に関するサルトルとハイデガー

サルトルは「私の死」というところで次のように書いている。 「それ(死)は、私のすべての可能性の無化として、それ自身もはや私の諸可能性の一部をなさないところの無化として、とらえられる。」(サルトル『存在と無』第三分冊 人文書院 昭和45年(1970年…

高崎将平は『そうしないこともありえたか?―自由論入門』

高崎将平は『そうしないこともありえたか?―自由論入門』(青土社 2022年9月28日)で自由論について英米の哲学者の議論を紹介している。 決定論や運命論と自由は両立するのか両立しないのか。この場合、自由とは、高崎が述べてきた「自由の他行為可能性モデ…

朴修範『カントの超越論的観念論についての考察』

朴修範は、カントの『純粋理性批判』における「触発」について書いている。 《.......現象が仮象ではなく現実的に与えられたものと見なされるためには対象によって主観が触発されるという事態が必要である。しかしながらそうだとすれば当然ながら主観を触発…