2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

偶然と運命

この世(世界)に生を享けて生きていると、予想もしないこと、予期に反したことが多く起こる。善いことや悪いことが起こる。ネーゲルが書いていたように、悪いことの方が多く起こるようだ。人生上の悪いことは、総じて禍(あるいは苦難)と呼ばれる。経済的…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その4

キリスト教がローマ帝国によって国教になり、カトリック教会が成立した後、この預定説は否定され、キリスト教はキリストを信じる全人類を救済する宗教となった。 宗教改革の実行者の一人、マルティン・ルターは書いている。 「神はその望むところに従ってわ…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その3

イエスを教祖とする原始キリスト教は、有能なオルガナイザーであったパウロによって大教団に発展する。そのパウロは、新約聖書「ローマ人への手紙」第3章10-12)において、つぎのように書いている。 「旧約聖書に、次のように書いてあるとおりです。『正しい…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その2

「運命と功績の不一致の根拠に関する問いに満足のいくような合理的な答えをあたえうる、そうした思想体系の姿をとったものはごく僅かーのちに見るように、全体として三つの思想体系だけーであった。すなわち、インドの業の教説(die indische Karmanlehre)、…

預定説と人間(ウェーバーの宗教社会学から)その1

ライプニッツは「モナドロジー 形而上学叙説」中央公論社2005年1月10日 の中で、すべての現象には理由があると書いた。これは「充足理由律」というものである。カントもこれは正しいと「純粋理性批判」に書いている。それはこういうことだ。 「現に生起する…